何をしたか(概要)
レバノンでは「胸」について公に語ること自体がタブー。そこでパン作りの“こねる・押す・回す”所作を使って、乳房自己触診の手順を教える“レシピ動画”と店頭レシピを制作。伝統的な人気ベーカーUm Aliが医師の指導を受けた所作を生地で再現し、胸には一切触れない“暗号化”された言葉と動きで自己検診を伝授した。レシピはSNSに加え、スーパーマーケットSpinneysの小麦粉パッケージやパン包装、店頭やスーク(市場)の実演でも展開された。
背景・狙い
・レバノンや中東の一部では、身体の話題や自己検診の手順を人前で語ることへの強い心理的・文化的障壁が早期発見の妨げになっていた。そこで“伝統を味方にする”発想で、誰もが慣れ親しむパン作りに手順を埋め込み、恥や検閲を回避しながら“毎月の習慣(リチュアル)”に置き換えることを狙った。
なぜ効いたか(示唆)
・タブーを“隠喩”で回避:身体に直接言及せずパン生地で触診を説明することで、羞恥・検閲・共有ハードルを一気に下げた。
・“見る広告”から“やるレシピ”へ:パッケージ/店頭実演/家庭の台所まで導線を伸ばし、月次の行動リマインドに変換。
・伝統の再文脈化:パン焼き=尊重される慣習に“自己検診の手順”を埋め込み、地域文化に合った早期発見の器を作った。
受賞(Cannes Lions 2020/2021)
・PR Lions:Grand Prix。レシピという文化記号を“検診手順”へ翻訳し、実生活に落とし込んだ点が評価。



