スウェーデン観光協会『The Swedish Number』| 2016

10/10

概要
スウェーデン観光協会(Svenska Turistföreningen/STF)が、世界共通の電話番号 +46 771 793 336 を開設。世界中の人がこの番号へ電話すると、事前登録したランダムなスウェーデン市民につながり、好きな話題で“素のスウェーデン”を語ってもらえる仕組みをつくった。市民は専用アプリで受電可否を切り替え、会話内容のガイドや台本は一切なし。クラウド型スイッチボードで24時間ランダム接続する設計だった。

狙い・背景
・1766年にスウェーデンが検閲を廃止してから250周年を記念し、統制ではなく“誰とでも自由に話す”という国家の価値観を観光コミュニケーションに落とし込む。観光地の宣伝よりも、市民の生の声で国のイメージを伝えるアンフィルタード(無検閲)な取り組みとして企画された。

どう実装したか(体験設計
・海外からの発信はスイッチボードが無作為に市民へ転送(誰に当たるかは完全ランダム)。FAQでは「通話はスイッチボード経由で匿名」「場合により録音」と明記。主要国にはローカル番号も用意し、国際通話料金の心理的ハードルを下げた。
・企画の肝は“演出しないこと”。発話内容の指示もNGリストも無しで、スウェーデンの“本音の多様性”をそのまま外に開く設計にした。

成果(公式サイト・業界メディアの報告値)
・通話総数 112,740件、通話参加国 190か国、総通話時間 210日分、平均通話 2分41秒。トップ発信国は米国32%ほか。※開設から79日間の集計としてサイト上に公開。
・PR面の波及として、首相 Stefan Löfven 自らが“電話アンバサダー”として受電したことや、著名人(Alicia Vikander など)の話題化で拡散。
Cannes Lions 2016 Direct部門 グランプリを受賞(他部門でも受賞多数)。“最もダイレクトな1対1の通話で、国の姿勢を体現した”点が評価理由として言及されている。

なぜ効いたか(クリエイティブの肝)
・メッセージ=機能化:自由とオープンネスを“実際に知らない人と話す”という体験に変換。広告ではなくプロダクト化された公共機能として成立させた。
・アンフィルタードの勇気:トーク内容を管理せず、国家ブランドのコントロールを国民に委ねる大胆さがニュース性と信頼感を生み、会話自体がコンテンツ化。
・実装の手堅さ:アプリでの受電管理、スイッチボードでの匿名転送、ローカル番号の設置など、拡散“後”に耐える運用まで作り込んだ。

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