リクルートライフスタイル『THE FAMILY WAY / Seem』| 2017

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概要
男性不妊を「女性だけの問題」にせず、男性が自分ごと化して早期に行動できるようにするため、リクルートライフスタイルはスマホ用の精子セルフチェック・キット「Seem」と連動アプリを開発。自宅で精液をレンズ付きスライドにのせ、スマホカメラで動画撮影すると、濃度や運動率をアプリが解析して結果を可視化する。プライバシーを守りながら、受診のきっかけを作る“行動誘発型”のヘルスケア施策で、モバイル部門のグランプリを受賞した。

背景/課題
・日本の少子化と不妊治療の課題感の中で、男性要因が全体の約半分に関与するにもかかわらず(世界的な医療文献でも男性因子の関与はおよそ50%と整理)、検査や相談の主体が女性側に偏りがちという文化的バイアスが存在した。そこで「男性が自分で最初の一歩を踏み出せる体験」を設計した。

ソリューション(プロダクト×コミュニケーション)
プロダクト(Seem)
・内容物:採取カップ、レンズ付きカートリッジ(スマホカメラに装着)、計測用のアプリ/ガイド。自宅で動画を撮るだけで濃度・運動率を算出し、結果をスマホ上で即時提示する。価格帯は約50ドルで、プライバシーを確保した初期スクリーニングを可能にした。
・技術裏付け:SEEM®として臨床比較・検証も行われ、スマホベースのCASA(コンピューター支援精液分析)として有用性が報告されている。
コミュニケーション
・短編フィルム「The Family Way」やウェブで、夫婦の物語と併せて“男性も検査するのが当たり前”という新しい対話を喚起。機能訴求と情緒の両輪で社会的タブーに切り込んだ。

成果/評価
Cannes Lions 2017 Mobile Grand Prixを受賞。審査側は「スマホというプラットフォームで“精子を撮影する”という前例のない活用を通じ、テクノロジーを新しいプロダクトへと転化し社会課題の会話を始めた勇気と独創性」を高く評価した。

なぜ優れていたか(示唆)
・プロダクト・イノベーションと社会課題解決の接続:スマホカメラ+簡易顕微鏡という身近な技術を、行動変容(早期受診・夫婦の対話)に直結する体験に落とし込んだ。
・タブーに対するやさしい入口設計:自宅・非侵襲・即時性という“心理ハードルを下げるUX”で、男性が問題の共当事者として動き出す導線を作った。
・エビデンス補強:SEEMシステムの臨床検証が追随し、スマホ型スクリーニングの有用性が学術的にも裏づけられていった。

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