概要
投票所が少なく行列が常態化する低所得地域に対し、通信キャリアの実店舗を“公式の投票所”として開放。さらに投票所検索サイトやGOTVイベントで参加障壁を下げ、民間の小売網を“市民インフラ”に転用したノンパーティザン(非党派)の選挙参加促進キャンペーン。背景/課題
・米国では、低所得・マイノリティが住む地区ほど投票所が少なく待ち時間が長い傾向があり、参加のハードルになっていた。Boost Mobileの店舗はまさにそうした地区に多く、“行列=時間コスト”という抑圧に対して自社の店舗を活用する発想に至った。アイデア/実装
・店舗を投票所へ:選挙管理当局と交渉し、実際に複数の店舗が公式投票所として運用(例:シカゴや南カリフォルニア)。準備にあたっては817郡の当局に連絡し、制度的な障壁を一つずつ突破した。
・スケールの試み:Boostは全国5,000超の店舗の提供を申し出たが、実際の採用は各自治体の許認可に依存。結果として“少数でも本物の投票所”を生みつつ、民間が場を提供できる前例を示した。
・周辺施策:投票所検索ができるモバイルサイト、投票の事実を可視化する映像・情報発信、TurboVoteやアーティスト(Chance the Rapper等)とのGOTVイベント、“VOTER”アパレルの制作など、現場×オンラインでの動員を設計。成果(抜粋)
・投票率の上昇:Boostが投票所となった選挙区(precinct)では、2012年大統領選比で投票率が23%増。シカゴのGOTVイベントは同市史上最高の期日前投票に寄与したと報告。
・継続性:キャンペーン後も一部店舗が投票所として継続運用されるなど、単発の広告を超えた制度運用への足がかりとなった。受賞(Cannes Lions 2017)
・Integrated Grand Prix、Promo & Activation Grand Prix、Titanium Grand Prixを受賞(OutdoorではGold)。同年を代表する社会性キャンペーンの一つに。何が評価されたか(要点)
・“店舗=市民インフラ”という着想と実装。私企業の物理ネットワークを公共目的に開放し、投票アクセスの不均衡に具体的な処方箋を示した。
・非党派・実効志向:政治的立場の表明ではなく、投票参加の機会そのものを増やす“行為のデザイン”。
・現場×デジタル×カルチャーの統合:投票所検索、GOTVイベント、コンテンツ発信を束ね、“行列と距離”という最大のボトルネックを減らした。



