- 全体概要
・「TOOTH IMPLANT(Beer Tooth Implant)」は、アルゼンチンのビールブランドCerveza Saltaが、ラグビーで前歯を失った選手に“ビールの栓抜きになる歯のインプラント”を提供したPR主導のプロジェクト。
・「Saltaはラグビー選手の公式ビール」という立ち位置を、口先のスポンサー訴求ではなく“身体に埋め込まれる道具”で証明する、極端にベタで強いブランドデモにした。
・Cannes Lions 2015ではTitanium Lion(Titanium & Integrated)を受賞し、アイデアの異常さと実装のリアリティが国際的に評価された。
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- 課題・背景:ラグビー文化の“歯が欠ける日常”を、ブランド資産に変える
・ラグビーは激しい接触で歯を失うことがあり、ケガは治っても歯は元に戻らないという現実が、インサイトの出発点になっている。
・一方でラグビーには試合後に仲間と飲む「third halves(第3のハーフ)」文化があり、ビールと強く結びついた“らしさ”がある。
・Saltaはラグビー協賛ブランドとして、選手の“献身”を讃えながら、公式ビールとしての関係性を疑いようなく刻む必要があった。
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- 施策/アイデアの仕組み:栓抜き機能つき「Beer Tooth Implant」
・欠けた歯の代わりに、Saltaのロゴをあしらい、瓶の王冠を引っかけて開けられる形状の“専用歯”を開発し、インプラントとして実際に装着した。
・工業デザイナー、歯科技工士、歯科医と協業して「医療として成立する装着」と「道具としての機能」を両立させ、ギャグで終わらない実用品にした。
・“歯で栓を開ける”という(やりがちな)行為を肯定して極限まで拡張し、ラグビー×ビールの文化をそのままプロダクトデザインに変換した。
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- 実装方法や見せ方:リアル手術を「ケースフィルム」にする
・施策の中核は、アイデア説明ではなく「実際にインプラント手術をしている」証拠を映像で見せ切ることで、真偽を疑う余地を潰した点にある。
・“閲覧注意レベルの生々しさ”をあえて残し、PRとしての話題性(驚き/笑い/痛さ)を最大化する設計になっている。
・想定以上に「欲しい」「どうすれば手に入る?」という反応が集まり、単発のスタントに留まらず、ラグビーコミュニティ内で“語り継がれる道具”として機能した。
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- 効果・社会的インパクト/評価ポイント/示唆
・Cannes Lions 2015でTitanium Lionを獲得し、「突飛さ」だけでなく“カテゴリや手法を横断して成立する統合アイデア”として評価された。
・さらにD&ADではWood Pencil、Clio AwardsではBronze、One ShowでもMeritなど、クラフトとアイデアの両面で横断的に受賞している。
・クリエイティブ示唆としては、「スポンサー主張」を“言葉”ではなく“身体に残る道具”に変えることで、疑いようのないブランド証明(Proof)を作れる点が大きい。
・もう一つの学びは、バズ狙いのフェイク演出ではなく、医療・製造・当事者の協力まで含めて“本当にやる”ことで、PRが一段強い信頼と拡散力を獲得するということ。



