Change The Ref『The Lost Class』| 2022

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概要
銃暴力で命を落とし、本来なら2021年に卒業していたはずの3,044人の高校生=“The Lost Class”のために、空席3,044脚の卒業式を実際に設営。そこに元NRA会長デイヴィッド・キーンと銃擁護論者ジョン・ロットを“リハーサル”名目で招き、空席に向けた祝辞を撮影・公開して普遍的背景調査(Universal Background Checks)の必要性を突きつけた。企画はパークランド事件の遺族が立ち上げたNPO Change the Ref、クリエイティブは Leo Burnett Chicago。この仕事はTitaniumを含む多数のライオンを獲得した。

背景(課題)
・米国では銃暴力が若年層の主要な死因となり、卒業式の季節に“もう座るはずだった椅子”が毎年生まれている。事件が起きるたびに議論が過熱しては鎮静化する状況を変えるべく、“失われたクラス”を可視化する卒業式という強いメタファーで社会の注意を固定した。

仕組み(どう成立させたか)
・偽装の舞台設定:実在しない「James Madison Academy」を用意し、招待状や進行を整えて開式前“リハーサル”としてスピーチを収録。3,044脚の白い椅子は、銃で命を奪われた同級生の数を1脚=1人で表現した。
・映像化と拡散:スピーチ映像は空席をゆっくりと映す長回しと編集で、“墓標のような椅子列”を印象づけるトーンに。公開後、主要メディアが相次いで報道した。
・行動導線:動画やサイトから普遍的背景調査を求める請願へ誘導。Change.org署名と政策対話につなげた。

なぜ効いたか(クリエイティブ視点)
・数字を“体験”に翻訳:統計値3,044を3,044脚の椅子へ——抽象を具体化する装置で、可視化と感情移入を同時に達成。
・語り手の反転:銃規制に反対する語り手をあえて舞台に立たせ、空席という“事実”に言葉が空回りする構図を設計。メッセージの矛盾を本人の声で露呈させた。
・行動設計の直結:鑑賞で終わらせず、請願署名と政策議論に接続。目的(法改正)×話題化(Earned)を両輪で回した。

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