概要
英国放送局 Channel 4 が東京2020パラリンピックのために制作した3分フィルム。2012・2016の「Superhumans」路線を“Super. Human.”へと反転し、超人性ではなく人間性——日々の痛み・葛藤・ユーモア・生活の段取り——を競技レベルの厳しさと同列に描いた。制作は 4creative(C4のインハウス)、演出は映画撮影監督として知られる Bradford Young、プロダクションは Serial Pictures × Somesuch。本作はCannes Lions 2022のFilm部門でGrand Prix を受賞。
背景(課題)
・過去の「Superhumans」は社会の意識を押し上げた一方、“スポーツのターミネーター像”という新たなステレオタイプも生んだ——との当事者の指摘があった。そこでC4は障害の“超克神話”から離脱し、アスリートの人間的現実(育児、ケガの手当、日常の段取りと練習の両立など)を描く方向へ戦略転換した。
アイデア/表現
・“Human”を前面に:水泳・自転車・ボッチャ・パワーリフティング等の英パラ選手の日常と練習を、苛酷さとユーモアを同居させて編集。ラストには挑発的なコピーを置き、固定観念へのパンチラインで締める。音楽はBugsy Maloneの『So You Wanna Be A Boxer』。
・演出/クラフト:監督 Bradford Young。陰影の強い画作り・タイトな編集・既成曲の再解釈で、スポーツ広告の記号から離れた映画的体験に。
なぜ効いたか(クリエイティブ視点)
・記号の反転:自らの成功フォーマット(Superhumans)を批評的に解体し、“ヒューマン”を主語に据え直した戦略が新鮮かつ誠実。
・インクルーシブな配慮を実装:手話・音声解説版や視覚障害の疑似体験など、“伝え方の公平性”まで設計。話題化が目的でなく視聴のアクセシビリティを優先した点が、ブランドの姿勢を裏打ちした。



