Colombian League Against Cancer『Cancer Tweets』| 2014

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  1. 全体概要
    ・コロンビアのがん撲滅連盟(Liga Contra el Cáncer / League Against Cancer)が、がんの早期発見の重要性を訴えるために実施したソーシャルメディア・キャンペーンです。
    ・広告会社「レオ・バーネット・コロンビア(LEO BURNETT COLOMBIA)」が制作を担当し、Cannes Lions 2014にて新設されたGrand Prix for Goodを世界で初めて受賞しました。
    ・「がんはあなたの体を密かにフォローし、警告(予兆)を送っている」というメタファーを、実際のTwitterアカウントの行動として再現しました。
    ・テクノロジーの高度な活用ではなく、既存のプラットフォームの「振る舞い」をアイデアの核に据え、人々に直接的な恐怖と気づきを与えた点が画期的でした。

  1. 課題・背景:無視される「体のサイン」
    ・がんは早期発見すれば生存率が飛躍的に高まりますが、初期症状は非常に微妙であり、多くの人々が日常の忙しさの中でそれらを無視してしまうことが大きな課題でした。
    ・従来の啓発広告(ポスターやテレビCM)は「他人事」として捉えられやすく、個人の行動変容(検診に行くなど)を促すほどのインパクトに欠けていました。
    ・特に若い世代や日常的にデジタルデバイスを使用する層に対し、がんがいかに身近に、そして執拗に忍び寄る存在であるかを「自分事」化させる必要がありました。
    ・「自分だけは大丈夫」という根拠のない自信を打ち砕き、体が出す小さなサインに耳を傾けさせるための、これまでにない強力なアプローチが求められていました。

  1. アイデアと仕組み:あなたを追いかける「7つのがん」
    ・最も致死率が高い7つの部位(乳房、結腸、前立腺、子宮頸部、肺、胃など)を擬人化した、7つのTwitterアカウントを開設しました。
    ・これらの「がんアカウント」は、ターゲットとなる数千人の一般ユーザーを無差別に、かつ執拗に「フォロー」し始めました。
    ・最初、アカウントは非常に控えめで抽象的なメッセージを送りますが、時間が経つにつれてそのツイートは頻繁になり、内容もより露骨な症状(サイン)を指摘するものへと変化していきました。
    ・ユーザーが自身の通知欄を見るたびに「結腸がん(@CancerDeColon)」や「乳がん(@CancerDeSeno)」という名前が目に入ることで、病魔が常に自分を監視しているかのような不気味な体験を作り出しました。

  1. 効果と社会的インパクト:デジタル上の脅威がリアルな検診へ
    ・この不気味な「フォロー」は瞬く間にSNS上で大きな議論を巻き起こし、多くの著名人やメディアがこの現象を「デジタル上のストーキング」として取り上げ、拡散されました。
    ・キャンペーンの終盤で「がんは現実世界でもこのようにあなたをフォローし、サインを送っている。手遅れになる前に検診を受けよう」というメッセージを公開し、すべての種明かしを行いました。
    ・この施策の結果、コロンビア国内でのがん検診の予約数が劇的に増加し、実際に多くの人々の早期発見に貢献するという実利的な成果を上げました。
    ・「Grand Prix for Good」の初代受賞という栄誉は、このアイデアが単にクリエイティブであるだけでなく、人類の健康という崇高な目的に対して真に有効であったことを世界に証明しました。

  1. クリエイティブ的示唆:行動を促す「不快感」のデザイン
    ・従来の「共感」や「感動」を呼ぶ啓発広告とは対照的に、あえて「無視できない不快感」や「不気味さ」をデザインすることで、強力な注意喚起に成功した事例です。
    ・SNSの「フォロー通知」という、現代人が最も頻繁に、かつ無意識に確認する接点を「がんの予兆」に見立てたメディアの再定義が極めて秀逸でした。
    ・審査員からは「がんという病気がどのようなものか、そして初期症状がいかに無視しやすいかを、人々に骨の髄まで感じさせた」と、その体験設計の深さが絶賛されました。
    ・ブランド(この場合はNGO)が「教える」立場ではなく、人々の生活に「侵入」することで、強固な無関心の壁を突き崩せることを示した、現代デジタルマーケティングの重要指標となりました。

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