概要
韓国発スタートアップ Dot Inc. と Serviceplan が開発した、触って“図やアイコン”を理解できる初のスマート触覚グラフィックス・ディスプレイ。2,400本のピンで構成された触覚ディスプレイにより、iPhone/iPadのVoiceOverと連動してグラフ・地図・UIアイコンなどのビジュアル情報をその場で触覚化する。2022年のカンヌでTitaniumを受賞。
背景(課題)
・世界には視覚障がい者・弱視者が約2.85億人いる一方、従来の支援機器は1行の点字表示が中心で、図やレイアウトなど“視覚なら一瞬で把握できる情報”へのアクセスが難しかった。高価で流通も限られる点字教科書や音声説明だけでは、STEM教育やデジタル利用で不利が残る——この構造を変えることが狙い。
何をしたか(仕組み)
・ハードの刷新:Dot独自の電磁アクチュエータでピンを上下させる方式を採用(従来の圧電式より小型・省電力・低コスト)。2,400ピンのグリッドで図形・アイコンを、下段の20セルの点字ラインでテキストを同時に表示できる。
・ソフトの刷新:Dot Image Processor(AI)が画像を検出→意味分割→触覚用レンダリングし、触って理解しやすい形に自動変換。
・Apple連携:iOS/iPadOSのVoiceOverに最適化。“いま画面でフォーカスしている要素”を触覚化でき、開発者向けの触覚グラフィックスAPIも用意。結果的にApp Storeの数百万アプリへ“箱から出してすぐ”アクセス可能に。
なぜ評価されたか(クリエイティブ視点)
・“広告”ではなく“インフラ”を発明:視覚情報=図を触覚に翻訳することで、情報アクセスの不平等そのものに介入(Titaniumの評価軸に合致)。
・ハード×ソフト×OS連携の統合設計:アクチュエータ発明+AI変換+OS連携を一体で構築し、日常のアプリ体験まで到達させた。
・教育・就労への波及:グラフ・地図・図解を“触って学べる”ことで、STEM学習や職業スキルの獲得に直接効く実装に。



