概要
Netflixドラマ『House of Cards』シーズン4の発売期(2016年)に、主人公フランク・アンダーウッドの大統領選キャンペーンを“実在化”。2015年12月15日の米共和党テレビ討論会の最中に、典型的な政治広告の体裁で架空候補「Frank Underwood」の30秒スポットをサプライズ投下し、最後に「FU2016」のスローガンと特設サイト fu2016.com を明かして現実の選挙報道を“乗っ取った”。このフェイク選挙は、サイト/屋外・印刷/グッズ/SNS/イベントまで一式を整えた統合キャンペーンとして展開された。狙い・背景
・現実の米大統領選がニュースを独占する年に、フィクション×リアル政治の接点で話題を最大化し、シーズン4(2016年3月4日配信開始)への期待と可視性を一気に高めること。「本物の選挙運動の“型”をすべて踏む」という戦略で、広告でなく現実世界の出来事として語られる状況を設計した。どう実装したか(体験設計)
・TV/デジタル:討論会内の“政治CM風”ティーザー(「I’m Frank Underwood, and I approve this message.」)。視聴者をfu2016.comへ誘導。BBHのケースでは、約3,000万人が視聴した討論会で放映と記録。
・キャンペーン資産:選挙サイト、ヤードサイン/ポスター/グッズ、メール&DM、SNS運用など、実在の選挙運動と同じ“キット”で一貫性を構築。
・実空間の演出:サウスカロライナ州に架空の選挙本部を開設(現地イベントと連動)。さらにスミソニアン肖像画ギャラリーで“大統領・フランク”の公式肖像画を実際に公開し、現実とフィクションの境界を越境させた。主要施策の例
・TV討論会ハイジャック:リアル候補の政治広告に紛れさせ、最後の数秒で“Underwood陣営”を明かす構成。
・キャンペーン・アイデンティティ:#FU2016、演説動画、支持者登録、クリエイティブ一式(党カラー、タイポグラフィ、掲出物)を現実の選挙同等に作り込み。
・カルチャー面での話題化:Jonathan YeoによるUnderwood肖像画をスミソニアンに展示(2016年2月公開)。ニュース各紙が報道し、配信直前の話題をブースト。成果・評価
・Cannes Lions 2016:Integrated部門 グランプリ。複数メディアは“フェイク政治広告”を核にした設計の巧みさを授賞理由として総括。
・到達・反応:討論会の巨大視聴者に“正体明かし”で刺さり、以降は屋外・SNS・イベント連動の長い話題線を形成。クリエイティブレビューは、実在候補以上に人気の“仮想大統領”として語られた文脈を紹介している。なぜ効いたか(クリエイティブの肝)
・”形式の感コピ”で世界を乗っ取る:政治広告の語法・記号・接触導線を一式トレースし、最後の一撃(正体開示)で文脈を反転。現実ニュースのど真ん中で語られる物語に。
・フィクション×公共空間の融合:討論会・選挙本部・美術館の肖像画という公共性の強い“場”を連続的に押さえ、PR価値を最大化。
・統合デザインの一貫性:サイトからサイン、グッズ、コピーまで同一の選挙的世界観で統一。“物語の厚み”=ブランド体験の厚みとなり、Integratedの最上位評価へ。



