IKEA『ThisAbles』| 2019

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概要
「ThisAbles」は、IKEAイスラエルが非営利団体のMilbatとAccess Israel、そしてMcCann Tel Avivと協働し、既存のIKEA家具に“後付け”できる3Dプリント用アドオン(拡張パーツ)を無償公開したインクルーシブ・デザイン施策。発売済み家具を買い替えさせるのではなく、13種類のアドオンで“いまある生活”を拡張する発想で、設計図(STL)を世界中からダウンロードできるようにした。店頭ではテルアビブ店内に「アクセシブル・セクション」を設け、実機で体験・検証できるように設計されている。

インサイト/アイデア
・従来のデザインは“健常者の使い勝手”を前提に最適化されがちで、障がい当事者にとっては小さな操作系(照明のスイッチ、取っ手の形状や高さなど)が大きな障壁になる。ThisAblesはその“最後の数センチ”を埋めるために、EASY HANDLE(大きめの取っ手)やMEGA SWITCH(照明スイッチを大きくする)、COUCH LIFT(ソファの脚を上げ立ち座りを助ける)、GLASS BUMPER(ガラス扉の衝突ガード)など、生活動作に直結するパーツを用意した。

仕組み/実装
・立ち上げ時点で13デザインを公開。ウェブから誰でも無償ダウンロードでき、自宅や地域のメイカースペースで3Dプリントして装着できる。各パーツには対応家具リストや組立ガイド、使い方動画も整備。
・当事者・支援者とともに店内ハッカソンを実施し、“現場の不便”を製品要件へ反映。店内に常設の体験エリアを設け、プロトタイプの検証と普及の両立を図った。

反響・意味
・ThisAblesは“製品=メッセージ”として機能し、アクセシビリティをコストではなく“より多くの人の毎日を良くする”というIKEAの根源目的の拡張と位置づけた。専用サイトでのグローバル配布により、地域や所得に関わらず改良の恩恵にアクセス可能となり、デザインミュージアム(ロンドン)の「Beazley Designs of the Year」にも選出されている。

受賞(Cannes Lions 2019)
・「Health & Wellness」グランプリを受賞。

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