概要
違法銃器を溶かして「ヒューマニウム・メタル」という新たな素材に変え、ブランドやデザイナーに供給。そこで生まれた商品の収益を武器暴力の被害コミュニティへ還元する、“市場を使って暴力を減らす”持続型イニシアチブ。2017年カンヌでInnovation Lions グランプリを受賞。背景/課題
・世界には数億丁の違法銃が出回り、「毎分1人が銃で命を落とす」といった凄惨な統計がある。IM(スウェーデンの国際NGO)は、この構造的課題に対し民間の需要=購買をレバレッジとして使う発想でHumanium Metalを立ち上げた。アイデア/仕組み
・武器→素材:各国政府の銃器破壊プログラムで押収・廃棄された銃を溶解・インゴット化(初回は2016年11月エルサルバドル)。その後グアテマラにも生産体制を拡張。
・素材→商品:インゴットは加工され、時計・アクセサリー・日用品などに。購入収益が暴力被害地域の支援や予防プロジェクトに循環する。
・実装体制:企画実施はIM、クリエイティブはÅkestam Holst/Great Works。カンヌでは“世界で最も価値あるメタル(World’s most valuable metal)”という象徴性が評価された。実装の広がり(例)
・プロダクト例:スウェーデンのウォッチブランドTRIWAがHumanium製ケースの「Time for Peace」シリーズを商品化。
・量と地域:IMの発表では、初回の1トン生産(エルサルバドル)以降、取り組みは中米を中心に拡大し、近年は米国・アフリカにも展開。受賞/評価
・Cannes Lions 2017 – Innovation Grand Prix。“武器を平和のコモディティへと転換し、民間参加を促す市場設計にした”点が決め手。何が新しかったか(評価ポイント)
・課題を“素材”に置換:啓発ではなく実物の新素材を作り、買う行為=支援に変換。
・スケール設計:NGO×政府×企業をつなぐサプライチェーン型の仕組みで、他国・他ブランドが乗れる土台を構築。
・文化的拡散力:時計など“身に着ける平和”がメディア化し、継続的な話題と資金流入を生む。



