Jeep『The Landscape Song』| 2015

Rate!
  1. 全体概要
    ・Jeepが新型「hi-fiオーディオシステム」の実力を訴求するために行ったブランド企画で、アンデス山脈の稜線をそのまま「楽譜」に変換して作曲したオリジナル曲「The Landscape Song」を中心に展開した。
    ・山の写真の上に五線譜を重ね、山頂の位置ごとに音符を置いてメロディを構築し、その曲をJeep車内で再生することで、自然と一体になったサウンド体験としてオーディオ性能を体感させる構造になっている。
    ・国連の「国際山岳デー」(12月11日)に合わせ、Jeepの“自然の中のクルマ”というブランド起源と、アンデスという象徴的な「生息地」を称えるオマージュとしても位置づけられた。
    ・キャンペーンはFCB Buenos Airesによって制作され、Cannes Lions 2015のOutdoor部門でショートリストに選出されるなど、クリエイティブ界でも広く評価された。

  1. 課題・背景:オフロードブランドが「音」をどう語るか
    ・Jeepは歴史的にオフロード性能や自然との親和性で知られる一方、車載オーディオの高性能化を印象的に伝える手段が求められていた。
    ・一般的なカーステレオ広告は、スペック説明やスタジオ収録の音源に頼りがちで、Jeepの“ワイルドな世界観”と結びつきにくいというコミュニケーション上の課題があった(この点は各種カーオーディオ広告との比較からの推察)。
    ・また、Jeepはアンデスなどの山岳地帯を舞台に数多くのキャンペーンや走行イベントを行っており、「山こそがJeepの自然なステージ」というブランドストーリーを、改めて現代的に言語化する必要があった。

3.アイデアのコア:アンデス山脈を「作曲家」にする
・アンデスの代表的な山々の写真に五線譜を重ね、その稜線をなぞる位置に音符を配置していくことで、地形そのものをメロディに変換するというコンセプトが採用された。
・こうして生成されたメロディをベースに約8分間の「The Landscape Song」が作曲され、フォークを軸にしつつ、アンデス各地に根づくリズムや音楽スタイルを取り入れた構成とされた。
・つまり“Jeepの走るフィールドである山々が、自らの歴史と地形を音にして語りかける”という詩的なアイデアであり、単なるBGMではなく「ランドスケープ由来の楽曲」としてオーディオ体験の意味付けを行っている。

  1. 実装と体験デザイン
    ・完成した「The Landscape Song」は、Jeepの新しいhi-fiオーディオシステムの公式デモ曲として、販売店や試乗体験の場で車内再生に使用され、ドライバーが走行しながらダイナミックレンジや音場を体感できるように設計された。
    ・キャンペーンフィルムでは、アンデスの山々の航空写真やマップに五線譜を重ねていくビジュアルと、スタジオで曲を録音する様子、そしてJeepが山岳地帯を走るシーンを組み合わせ、アイデアの“由来”と“用途”を一つのストーリーとして見せている(Cannesケース紹介や制作陣ポートフォリオの記述からの要約)。
    ・リリースは国際山岳デーに合わせて行われ、自動車メディアやニュースメディアに対して「Jeepが山に捧げる曲」という文脈でPRが展開され、オンライン動画への誘導とブランドストーリーの拡散が図られた。

  1. 効果・評価:サウンドデザインとブランド起源の掛け合わせ
    ・Cannes Lions 2015ではOutdoor部門でショートリスト入りし、「FCA – Fiat Chrysler Automotive / Jeep with hi-fi audio system」として、プロダクト機能とランドスケープの組み合わせが評価された。
    ・さらに、アルゼンチン国内およびラテンアメリカのクリエイティブアワードでも、アルゼンチンクリエイティブサークルのFilm部門ブロンズ、El Ojo de IberoaméricaのSound Design部門ブロンズなど、音とアイデア双方のクオリティが評価されている。
    ・オートモーティブ系メディアでは「Jeepがアンデスの山々に捧げた8分間のフォークソング」として取り上げられ、Jeepのオフロードイメージを損なうことなく、オーディオ性能の高さを印象づけた取り組みとして紹介された。
    ・クリエイティブ界では、「地形データを音に変換する」という一見テクニカルな発想を、感情的で詩的なブランドメッセージに落とし込んだ点が、サウンドデザインとランドスケープ表現の新しい融合として語られている。

  1. クリエイティブ的な示唆
    ・プロダクト機能訴求(hi-fiサウンド)を、数字やスペックではなく「山が自ら作曲した歌を聴く」という体験設計に変換しており、技術ブランドでも“詩的な導線”を用いることで印象を残せる好例になっている。
    ・データ・ビジュアライゼーション的な発想(地形→音符)を、冷たい情報表現ではなく、フォークソングという温度のあるアウトプットに落とし込んでいる点は、“データをどう情緒化するか”という観点で参考になる。
    ・ブランドの「生息地(ハビタット)」を、単なる背景ロケーションではなく、コンテンツそのものの“共作者”として扱うことで、場所とブランドの関係性を一段深く語れることを示している。
    ・長尺のオリジナル楽曲を核にすることで、店頭・試乗・オンライン動画など複数の接点で同じ世界観を共有できる“音のプラットフォーム”を作っており、体験設計の核としてのサウンドの使い方を示唆している。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です