John Lewis『Monty The Penguin』❘ 2014

Rate!
  1. 全体概要
    ・「MONTY THE PENGUIN(Monty’s Christmas)」は、John Lewisの2014年クリスマス広告を核に、映像・店頭・デジタル体験・商品展開まで“物語世界”を拡張した統合キャンペーン。
    ・主人公は少年Samと、親友のぬいぐるみペンギンMontyで、「Montyが“誰かを愛したい”と気づく」物語が“贈り物の本質=相手の願いを思う”へ着地する。
    Cannes Lions 2015ではFilm Craft部門でGrand Prixを獲得し、映像クラフトと統合設計の完成度が国際的に評価された。

  1. 課題・背景:毎年の“国民的イベント”で勝ち続ける必要
    ・John Lewisのクリスマス広告は英国で「最も注目され、語られ、評価される」レベルの恒例行事で、失敗すると商業面だけでなくブランドの文化的地位にも傷がつく前提があった。
    ・2014年は、店舗・EC・モバイル・Click & Collectを横断して“John Lewisで買う理由”を再確認させることも課題として置かれていた。
    ・そこで「TVの感情起点」を核にしつつ、画面外の体験を“物語の続き”として設計する「immersive marketing」が方針になった。

  1. 施策/アイデアの仕組み:恋を知ったMontyが“ギフトの理由”を作る
    ・物語は、SamとMontyが一年を通して遊ぶ姿を積み重ね、冬が近づくにつれてMontyが寂しそうになる変化で“欲しいもの”を浮かび上がらせる。
    ・クライマックスでSamがMontyのために“相棒(Mabel)”を贈り、視聴者にも「相手の夢を叶える贈り方」を直感させる構造になっている。
    ・音楽はJohn Lennon「Real Love」のTom Odellカバーを用い、John Lewis流の“泣ける祝祭”の文法を強化した。

  1. 実装:#MontyThePenguinを“売り場とデジタル”に増殖させる
    ・露出設計はChannel 4と組み、ティザー→『Gogglebox』での独占プレミア→尺違い素材での短期集中拡散、という“事件化の導線”を組んだ。
    ・TV放映前にSNSで先行公開し、公開後すぐに世界トレンド級の話題化を狙うなど、拡散の起点を最初から“ソーシャル中心”に置いた。
    ・店頭では44店舗で「Monty’s Den」を作り、絵本(紙/アプリ)やグッズを“物語の出口”として整備して購入体験につなげた。
    ・体験拡張として「Monty’s Goggles」を投入し、Google Cardboard×スマホで360°のVR冒険に入れる“当時として新しい店頭体験”を実装した。

  1. 効果・社会的インパクト/Cannesでの評価ポイント/示唆
    ・オンライン視聴は累計約2,900万回、シェア約28.8万回、Monty & Mabelのソフトトイは発売初日に売り切れ、という“映像→購買”の直結が報告されている。
    ・2014年のクリスマス期売上は前年より約5.8%増、記録的週次売上£175m到達、マーケ投資1ポンドあたり利益ROI £7.44など、感動広告が“利益に強い”ことを数字で証明した。
    ・Cannes Lions 2015ではFilm Craft Grand Prix(+Gold獲得の言及あり)となり、キャラクターの可愛さより「クラフト」「語りの設計」「統合の徹底」が勝因として読める。
    ・後年にはCreative Effectiveness文脈でも評価され、「泣ける」だけでなく“商業成果まで到達した感情設計”として語られ続けた。
    ・クリエイティブ示唆は、広告を“主張”ではなく「世界観IP(Monty)」として設計し、体験・商品・店頭・音楽まで同じ物語で束ねると、短期の話題と長期の売上を同時に取りにいける点。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です