Leica『100』❘ 2015

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  1. 全体概要
    ・「100」は、Leicaの“最初のLeicaカメラ誕生100周年”と「Leica Gallery São Paulo」開設を記念して制作された、2分尺のブランドフィルム。
    ・過去1世紀の“象徴的な写真史”を、複数の名作写真の再現で連ね、Leicaが写真表現を「スタジオから現実の生活へ」押し広げた影響を語る構成になっている。
    ・企画はSaatchi & Saatchi(São Paulo)、プロダクションはStink São Paulo、監督はJones+Tino。

  1. 課題・背景:カメラの周年を「プロダクト」ではなく「文化的影響」で祝う
    ・ “100年”の節目を単なる懐古やスペック訴求にすると凡庸になりやすく、Leicaが写真文化に与えた構造的インパクトを、短い時間で伝える必要があった。
    ・Leicaが小型化・機動性によって写真を「現実の瞬間/自発性」に近づけた、というブランドの自己定義を、観客が直感で理解できる形に翻訳するのが課題だった。
    ・そこで“写真史そのもの”を題材にし、「Leicaで撮られた/Leicaが可能にした」決定的瞬間の連なりを見せる方針が採られた。

  1. 施策/アイデアの仕組み:「名作写真の再現」でLeicaの役割を可視化
    ・過去100年の写真史を代表する“複数の有名写真”を、セット・演出・役者で再現し、一本のフィルムとして編集することで「写真が世界の見え方を変えた」体感を作った。
    ・作品内では35点規模(表現によっては“35点以上”)の写真記録に言及し、名作の連続によって“写真史=Leicaの影響圏”という印象を強化している。
    ・ナレーション(V.O.)で、Leicaが写真を「スタジオから現実へ」連れ出し、人類と写真の関係を変えた、という主張を明確に言語化して補強している。

  1. 実装・表現:2分の“モノクロ映画”として成立させるクラフト
    ・ 映像は“モノクロの回顧録”として設計され、写真の記憶を映画の時間に変換することで、Leicaのアイデンティティ(視線・ドキュメント性)をスタイルで担保している。
    ・「広告」よりも「映像作品」としての完成度を優先し、再現の連続でも散漫にならないよう、歴史の流れを編集リズムと語りで束ねた。
    ・本作は“ブラジルでの記念施策群の第一弾”として位置づけられ、フィルム単体がイベント/ギャラリー開設の旗艦コンテンツとして機能する設計になっている。

  1. 効果・社会的インパクト/Cannes Lionsでの評価ポイント/示唆
    Cannes Lions 2015ではFilm部門(TV)でGrand Prixを受賞し、Film CraftでもGold Lionを獲得するなど、ストーリーテリングとクラフトの両面で評価された。
    ・Clio Awards 2015でも「Film」と「Film Technique」でGoldに入り、広告賞の文脈でも“映画的な完成度”が強い武器になったことが示されている。
    ・クリエイティブ示唆は、ブランドの正当性を「主張」ではなく“参照され続ける文化(この場合は写真史)”に接続し、観客の既知の記憶を編集して“ブランドの物語”に組み替えるアプローチにある。
    ・もう一つの学びは、周年広告を「新情報の提示」ではなく「解釈の提示(どう祝うか/何を誇るか)」に寄せることで、プロダクトを超えたブランド価値の再定義が可能になる点。

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