施策の概要
Palau Pledgeは、パラオ政府系のPalau Legacy ProjectとHost/Havas Sydneyが推進した観光客向けの入国誓約制度。2017年12月7日に入国管理手続きを改定し、到着時にパスポートへ専用スタンプを押し、来訪者が環境・文化を守る誓約文に署名することを義務化した。誓約文はパラオの子どもたちが起草し、土地の慣習“BUL”(資源を守る禁漁・自制の文化)に基づく。世界で初めて“入国要件としてのエコ誓約”を制度化した事例である。ねらい
・急増する観光の外部不経済(サンゴ破損、ごみ、野生動物への接触等)に対し、“法律×社会規範×儀式化”を組み合わせて旅行者の行動変容を起こすこと。誓約は5言語(英・中・日・韓・台湾華語)で用意され、「洗い流される足跡だけを残す」という比喩で来訪者の自制を促す。実装(体験設計)
・入国スタンプ&署名:イミグレーションで誓約文スタンプを押印→その場で署名。到着時の“儀式化”で行動の基準線を設定。違反時は既存の環境法令に基づき高額罰金(最大100万ドル)の規定があるとされる一方、ナショジオは誓約自体に直接の罰則はないと紹介している。
・機内上映:全入国便で短編アニメ「The Giant」を必見として上映。到着前に“何をしてはいけないか”を物語で理解させる。成果・インパクト(公開値)
・話題化:開始後4週間で17億インプレッション/30超カ国で数千件のメディア露出。著名人・団体の賛同も拡大。
・署名の蓄積:開始約1年で15万人が署名(人口約2万人の国)。長期では10年で200万超署名見込みと公表。受賞(Cannes Lions 2018)
・Direct Grand Prix、Sustainable Development Goals Grand Prix、Titanium Grand Prixを受賞(3冠)。さらに複数部門でメダルを獲得。なぜ評価されたか(要点)
1) 制度そのものがアイデア:広告ではなく“入国制度のデザイン”で行動を変える点が画期的。
2) 文化的リアリティ:子どもが書いた誓約とBULへの接続で、観光が次世代への約束であることを可視化。
3) ジャーニー全体への埋め込み:機内→入国→滞在と連続的に“良き行動”を強化する体験設計。



