概要
ポルトガルの独裁期(エスタド・ノヴォ)で“検閲の象徴”だった青い鉛筆(lápis azul)を、自由の象徴へと“奪い返す”編集デザイン・プロジェクト。ペンギン・ブックス(Penguin Random House Portugal)とFCB Lisbonが、1933年の“ファシスト憲法”の原文を素材に、現代の詩人とイラストレーターたちがブラックアウト・ポエトリーで新しい詩と図版を構成。出来上がった作品群を書籍『Portuguese (Re)Constitution』として刊行し、カーネーション革命の記念とともに検閲の道具=青鉛筆を自由のメタファーに反転させた。2022年のカンヌで Design 部門グランプリ(ポルトガル初のGP)を受賞。
仕組み(体験設計)
・青鉛筆 × ブラックアウト・ポエトリー:アーティストに青鉛筆を渡し、憲法テキストから選んだ語だけを残して他を“塗りつぶす”。抑圧の文書が詩とイメージの“自由のマニフェスト”へ生まれ変わる。
・ブックデザイン:全編を青のトーンで統一。ページをめくるほどに、“消すことで浮かび上がる言葉”という逆説が体験として機能する。審査コメントでも高いクラフトと明快なメッセージ性が評価された。
なぜ効いたか(クリエイティブ視点)
1. 象徴の反転:抑圧の記号(青鉛筆)を創造の道具に変える“シンボル・ハック”が、国民的記憶と強く接続。
2. クラフトの説得力:テクノロジーに頼らず、ページの構成と手仕事だけで強い体験を成立させた点がGrand Prixの決め手。
3. 文化への恒久的インストール:教育現場と博物館収蔵まで到達し、話題化に留まらない“残るデザイン”になった。



