施策の概要
“It’s a Tide Ad” は、P&Gの洗濯洗剤TideがSaatchi & Saatchi New Yorkと組み、Super Bowl LII(2018)を舞台に展開したマルチフィルム型キャンペーン。主演は『Stranger Things』で人気のDavid Harbour。「きれいな服が写っている広告は、すべてTideの広告だ」という発想で、車・ビール・保険…といった“定番ジャンルのCM”を次々とパロディ化し、あらゆる広告を“乗っ取ってしまう”体験を作った。Cannes Lions 2018ではFilm部門のGrand Prixを受賞し、同年にTitaniumも獲得している。ねらい
・Super Bowlという“広告が主役になる日”に、Tideを常に想起させること。「広告=(清潔な衣服)=Tide」というカテゴリー真理に着目し、視聴者の認知バイアスを利用して他社CM視聴時にもTideを思い出させる“メディア・ハック”を狙った。加えて、当時のTide Pods騒動から話題を建設的に転換する意図も示唆されている。実装(体験設計)
・放映設計:第1Qに45秒のヒーローフィルム、以降各クォーターに15秒を投入。計90秒でゲーム全体に“これはTideの広告か?”という疑念を撒き続けた。
・クリエイティブ:Harbourがビール/車/香水/保険などの“お約束”を次々に横断して「…だから、Tideの広告」とオチをつける構造。Old Spice(Isaiah Mustafa)やMr. CleanといったP&G内ブランドのカメオも登場し、他社ジャンルの記号(例:ビールのClydesdales)まで“Tide化”してみせた。
・ソーシャル運用:#TideAdを核に、リアルタイムのウォールームで事前仕込みのGIF/投稿を連投。放映直後からトレンド化させた。成果・受賞
・Cannes Lions 2018:Film Grand Prix に加え、Titaniumも受賞。翌2019年にはCreative Effectiveness Goldも獲得。
・ビジネス・効果:WARCの報道では、ブランド指標と売上の押し上げが確認されたとエージェンシーが言及。Super Bowl当夜は会話量上位のブランドにも数えられた。
・到達:One Showのケース要約では、1億3百万人以上がゲームで視聴、#TideAdが放映直後にトレンド化。なぜ評価されたか(クリエイティブの要点)
・カテゴリー真理の“乗っ取り”:「清潔=Tide」という等式で他社CM視聴中もTideを想起させる、メディア横断の意味反転。
・最小の買い付けで最大の存在感:90秒/4本の分割投入でゲーム全体を“心理的にジャック”。
・ブランド横断の世界観設計:Old Spice/Mr. Cleanなど自社IPも巻き込み、広告ジャンルのクリシェを高精度にパロディ——“広告を見る行為そのもの”をエンタメ化した。



