概要
プエルトリコ出身ラッパー Residente が、仏キューバ系デュオ Ibeyi を迎え、“アメリカ=米国ではない”という視点から、植民地主義・国家暴力・文化抹消の歴史を告発するミュージックビデオ。制作は Doomsday Entertainment(LA)、監督は Greg(Grégory) Ohrel。2022年カンヌでEntertainment Lions for Music グランプリを受賞しました。
背景(問題提起)
・タイトルはチャイルディッシュ・ガンビーノの「This Is America」への批評的応答。米国中心の“America”観に対して、大陸全体(南北アメリカ)の歴史と現在進行形の抑圧を可視化し、語りの主導権を当事者側へ取り戻す意図が明確です。
体験設計(何をどう見せたか)
・強度の高い実写メタファー:ビデオは各地の出来事を象徴的に再演。例)プエルトリコ独立運動家ロリータ・レブロンの武装抗議の引用、チリの歌手ビクトル・ハラ暗殺の再現など、“知られていない歴史の断片”を立て続けに提示。
・連想の編集と言及:「This Is America」へのオマージュ/批評を織り込み、米国的イメージの記号(自由の女神など)をラテンアメリカの記憶で上書き。
・音楽×政治の融合:ResidenteのラップとIbeyiのヴォーカルが、抗議歌×儀礼歌のような構造で感情の起伏を設計。撮影・VFX・カラー設計まで映画品質で支えています(DP:Lluis Martí、VFX:Mathematic ほか)。
なぜ効いたか(クリエイティブ視点)
・記号のハイジャック:米国的“America”の記号体系を、ラテンアメリカの記憶/現実で反転。エンタメ文法で政治的内容を押し出した。
・当事者の語りへ回線を切替:歴史の断片を連鎖するビジュアル詩として再配置し、“誰が物語るか”を問い直した。
・クラフトの説得力:監督・撮影・編集・カラー・VFXまで統合された映画的作り込みが、情報密度の高いメッセージを圧倒的な鑑賞体験へ昇華。



