- 全体概要
・「SAMSUNG SAFETY TRUCK」は、トラックの“前方映像”を後方車に見せて追い越し判断を助けることで、対向車線での正面衝突リスクを下げようとしたロードセーフティ施策。
・アルゼンチンの道路事情(片側1車線の長距離道路が多く、追い越し時に前が見えない)を、Samsungのディスプレイ技術で解決する「実装型アイデア」として提示した。
・ Leo Burnett Argentina(Buenos Aires)によるキャンペーンで、Cannes Lions 2015ではTitanium Lionを含む計7賞を獲得した。
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- 課題・背景:追い越しが“見えないギャンブル”になっていた
・ アルゼンチンでは交通事故死亡が深刻で、「1時間に1人が事故で死亡」「事故の多くが追い越し時に発生」といった統計・問題意識がキャンペーンの出発点になった。
・大型トラックの後ろは対向車線が見えず、追い越し可否の判断が運任せになりやすいという“構造的な死角”があった。
・規制やインフラ改修に頼らず、「既存の道路でも今すぐ事故確率を下げる」打ち手が求められていた。
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- 施策/アイデアの仕組み:“透明化”で追い越し判断を再設計
・トラック前方にカメラを搭載し、その映像を後方の大型ディスプレイ(4面のビデオウォール)に表示して、後続車が前方状況を確認できるようにした。
・これにより、後続車は対向車や道路状況を見た上で追い越しを判断でき、無謀な追い越しによる正面衝突リスク低減を狙った。
・追い越し以外にも、急ブレーキや動物の飛び出しなど“前方で起きていること”の共有が事故回避に寄与し得る、という価値も示された。
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- 実装・検証:広告ではなく、走るプロトタイプとして成立させた
・Samsung Electronics ArgentinaとLeo Burnett Argentinaに加え、現地の技術・製造パートナー(Ingemática、Helvetica、Volvo Trucks Argentinaなど)と組み、実車のプロトタイプ開発まで踏み込んだ。
・映像伝送は、輸送向けに設計したソフトウェアプラットフォームを用い、後方の屋外ディスプレイで視認できる構成を取った。
・Samsung側の説明では、試験(テスト)も実施しており、コンセプト動画で終わらない“検証前提”の設計になっている。
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- 効果・社会的インパクト/Cannes Lionsでの評価ポイント/示唆
・Cannes Lions 2015でTitanium Lionを含む複数受賞(計7賞)し、「ブレイクスルーな統合アイデア」として国際的に評価された。
・2015年のTIME「The 25 Best Inventions of 2015」にも「The Transparent Truck(Safety Truck)」として掲載され、広告文脈を超えた“発明”として扱われた。
・クリエイティブ示唆は、「ブランドの強み(Samsung=ディスプレイ)」を“社会課題のど真ん中の機能”に変換し、機能そのものをコミュニケーションにしている点。
・もう一段の学びは、啓発広告ではなく「事故が起きにくくなる設計」を提示することで、ブランドが“良いことを言う人”から“状況を変える人”にポジション転換できる点。



