概要
ウォール街の象徴「Charging Bull」の前に、小さな“少女像”を一夜で出現させ、企業の取締役会における女性比率向上を迫ったガバナンス・アクティビズム型キャンペーン。国際女性デー前夜に設置し、銘板には「Know the power of women in leadership. SHE makes a difference.(SHE=同社のジェンダー多様性ETFのティッカー)」と刻まれた。背景/課題
・運用会社State Street Global Advisors(SSGA)は、取締役会のジェンダー多様性を投資家の立場から促進する方針を強化。女性取締役がゼロの企業などに対し書簡送付と議決権行使(議決反対)で圧力をかける方針を公表し、メッセージの象徴として「Fearless Girl」を企画した。アイデア/実施
・設置:2017年3月7日深夜(国際女性デー前夜)。当初は短期許可→反響を受け延長。のちにニューヨーク証券取引所前へ移設された。
・制作:彫刻家Kristen Visbal。アートディレクションはLizzie Wilson/Tali Gumbiner(McCann NY)が構想した“堂々と立つ少女”。成果(アワード/影響)
・Cannes Lions 2017で4つのグランプリ(Glass/PR/Outdoor/Titanium)を含む計18個を受賞。
・SNSと報道で爆発的拡散(初日12時間でTwitter 10億インプレッション→数週間で46億)。
・コーポレート・ガバナンス面では、書簡送付・議決権行使を通じて取締役会の是正を継続。3周年時点で681社が女性取締役を新任と報告。論争点(評価の光と影)
・ “コーポレート・フェミニズム”批判:SSGAは同年、賃金格差問題で約500万ドルの和解に合意し、メッセージとの齟齬が指摘された。
・著作権・設置を巡る論争:Charging Bull作者の抗議や、のちの作家とSSGAの法的係争(2024年に和解)など、象徴性の扱いを巡る議論が続いた。何が評価されたか
1. 都市の象徴空間を“メディア化”し、誰もが参加できる記号(ポーズ/自撮り)に翻訳。
2. 投資家としての行動(書簡・議決権)と象徴アートを結合し、PRと実務の両輪で議題設定に成功。
3. “対峙の構図”が生む強い一枚絵と、国際女性デーという文脈の合わせ技で世界的議論を喚起。



