概要
水泳界のレジェンド、Michael Phelpsの“最後のオリンピックに向けた追い込み”を描いた90秒フィルム「Rule Yourself: Michael Phelps」。暗がりのプール、ウエイト、アイスバス、カッピング療法、炭水化物補給まで、栄光の裏側だけを積み重ね、最後にブランドライン「It’s what you do in the dark that puts you in the light.」で締める。楽曲は The Kills「The Last Goodbye」。2016年3月公開。
狙い(ブランドの文脈)
「#RuleYourself」第2章として、FOMOの逆概念JOMO(Joy of Missing Out)──“犠牲を楽しむほど没頭する”というアスリートの本質を可視化。「暗闇(見えない努力)→光(表彰台)」という比喩で、勝利“以外”の時間を価値化した。
どう実装したか(表現とクラフト)
・徹底した観察描写:練習・筋トレ・回復・食事だけを淡々と連ね、モノローグや勝利カットを排除。カメラは近く、音は生々しく、編集は呼吸のリズムを刻む。
・音楽と言葉の“呼応”:別離を歌う「The Last Goodbye」と、“暗闇の努力”というコピーが、Phelpsの“集大成の夏”に情緒と意味を与える。
・制作体制:Agency Droga5/Director Martin de Thurah/Production Epoch Films。
成果・受賞(Cannes Lions 2016)
・Film Craft Grand Prix を受賞。撮影・編集・サウンドまで“クラフトの総合力”が評価された。
なぜ効いたか(クリエイティブの肝)
・“勝利の外側”を物語化:競技シーンやメダルを見せずに努力だけで惹きつける。Phelpsの実人生と“終章”の文脈が、感情移入の密度を上げた。
・クラフトの統率:ローキーの撮影、体感編集、環境音、The Killsの楽曲が一つの抑制美で統合。コピーの着地が全カットを意味づける。
・ブランドの一貫性:「Rule Yourself=自分を律する」というコアをJOMOで言語化し、広告の常套句“栄光”を外して差別化。



