what3words『3 WORDS TO ADDRESS THE WORLD』| 2015

Rate!
  1. 全体概要
    ・「3 WORDS TO ADDRESS THE WORLD」は、世界を3m四方のマス目に分割し、それぞれに3つの単語からなる“住所”を与えることで、どんな場所も簡単・正確に共有できるようにした、what3wordsのグローバル住所システムである。
    ・従来の住所や緯度経度が「複雑・不正確・そもそも存在しない」ことで生まれる社会課題に対し、言葉ベースのシンプルなインターフェースで応えようとしたプロジェクトである。
    ・世界の約40億人が「正式な住所を持たない」とされる状況に対するソリューションとして構想され、テクノロジーと社会性を兼ね備えたアイデアとして位置づけられている。
    ・この仕組みを核とした取り組みが評価され、Cannes Lions 2015のInnovation Lionsグランプリを受賞した。

  1. 世界の「住所不在問題」と見えない40億人
    ・多くの国・地域では、番地体系が不揃いだったり、通り名がなかったりして、地図上で場所を正確に指定することが難しい。
    ・その結果、救急・警察・防災の現場で「どこに行けばいいのか」が伝わりにくく、対応の遅れや行き違いが生じやすい。
    ・物流・配達においても、住所不備やあいまいな目印頼みで、再配達・誤配・コスト増が常態化している。
    ・スラムや農村など住所制度の外側にいる人々は、行政サービスや支援を受けにくく、「存在しているのに、システム上は見えない人」となってしまっている。

  1. 「世界を3m四方×3つの単語で区切る」新しい住所設計
    ・what3wordsは、地球全体を約57兆個の「3m×3mのマス」に区切り、それぞれに一意の3語アドレスを割り振っている。
    ・緯度・経度と3語アドレスを相互変換できる独自アルゴリズムを開発し、アプリやAPIとして利用可能にしている。
    ・アルゴリズムは軽量で、オフライン環境でも動作する設計とすることで、ネット接続が不安定な地域でも使えるインフラを目指している。
    ・各言語ごとに選定した単語リストを用い、人口の多いエリアには短く覚えやすい単語を優先して割り当てるなど、使用シーンを踏まえた言語設計がされている。
    ・似た単語の組み合わせが近距離に固まらないように配置することで、聞き間違い・入力ミスによる致命的な誤差を減らす工夫も盛り込まれている。

  1. 実装方法と具体的な活用シーン
    ・一般ユーザーは、スマホアプリやWebマップ上で地図を拡大し、任意の3m四方をタップするだけで、その地点の3語アドレスを取得・共有できる。
    ・企業・開発者向けにはAPI/SDKが提供され、eコマースの配送先入力、配車・ナビアプリ、ドローンの着地点指定などに組み込むことができる。
    ・物流では、建物の特定の入口やゲート前といった「細かい地点」を指定できるため、再配達や場所ミスを減らし、ラストワンマイルの効率化に貢献している。
    ・音楽フェス、スポーツイベント、スタジアムなどでは、ステージ裏口や集合場所、救護テントの位置を3語アドレスで共有し、運営や誘導をスムーズにしている。
    ・警察・消防・山岳救助などの緊急サービスでは、通報者が3語アドレスを伝えることで、従来より正確かつ迅速に現場を特定できるようになっている。
    ・住所のない地域では、3語アドレスを看板や資料に記載し、NGO・宅配業者がそれを住所として登録することで、「初めて住所を持つ」人々が生まれている。

  1. 効果・社会的インパクトと広がり
    ・サービス開始から短期間で多くの国・企業に採用され、190カ国以上で利用されるなど、「新しい住所標準」としての広がりを見せている。
    ・あいまいな「あの角のところ」「大きな木のそば」といった指示が、3つの単語だけで、世界中どこでも共通の“座標”に変わる点が評価されている。
    ・物流・イベント・観光などの効率化に加えて、防災・医療・人道支援など、人命や生活に直結するシーンでも活用され、社会インフラに近いインパクトを持ち始めている。
    ・多言語対応を進めることで、英語話者だけでなく、各地の人々が母語の3語アドレスで場所を共有できるようになり、「位置情報の民主化」というビジョンを具現化している。

  1. Cannes Lionsでの評価とクリエイティブ上の示唆
    ・2015年、Cannes LionsのInnovation Lions部門でグランプリを受賞し、「スタートアップ発のテクノロジーがそのままクリエイティブなアイデアになった」象徴的なケースと見なされた。
    ・一過性のキャンペーンではなく、「世界共通のインフラになりうる新しい住所規格」というスケール感が、イノベーションとビジネスの両面から高く評価された。
    ・高度なテクノロジーを「3つの単語」という極端にシンプルな体験設計に落とし込んだ点が、デザイン/UXの観点からも強いクリエイティブ性を持つと判断された。
    ・「40億人の住所不在」という巨大な社会課題に対し、直感的で覚えやすい解決策を提示することで、テックでありながらエモーショナルなストーリー性を獲得している。
    ・スタートアップが自社プロダクトそのものを“社会を変えるクリエイティブ”として提示し、広告賞の場で評価されたことは、「プロダクトデザイン=クリエイティブ」という潮流を後押しする事例となった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です