Whirlpool『Care Counts』| 2016

4.7/10

概要
学校に洗濯機・乾燥機を設置し、「清潔な衣服へのアクセス」と「欠席率」の相関をデータで実証。家庭のケアを社会課題解決に転用した“ストーリー・ドゥーイング”型のプログラム。2017年カンヌでCreative Data グランプリ。

背景/課題
・米国では慢性的欠席(chronic absenteeism)が学業を阻害。とりわけ低所得層の子どもは「汚れた服が恥ずかしくて登校しない」という要因が見過ごされがちだった。Whirlpoolはこの“可変要因”に着目し、学校内で洗濯機会を提供して就学を後押しすることにした。

施策(アイデアと実装)
・学校設置:まず17校に洗濯機・乾燥機を寄贈し、必要な児童を先生が特定。洗濯回数・出欠・成績を匿名で追跡した。装置にはデータ収集デバイスを取り付け、各洗濯を個別生徒にひも付けて可視化。
・検証設計:導入前後で出欠を比較するプレ/ポスト型の設計。のちに10地域・27校・432名まで拡大し、リスク階層(許容/問題/慢性)で効果を評価。

成果(主要データ)
・初年度(パイロット):およそ2,000回の洗濯を実施。追跡した生徒の90%が出席改善、89%が授業参加改善。
・年次評価(2016–2017):参加ハイリスク生徒は月あたり約2日出席が伸び、出席率は平均82%→91%に上昇。過半数が「慢性的欠席リスク」から脱却、95%で学習意欲の向上が教師観察で確認。Teach For Americaと提携し全米へ拡張。
・詳細分析(白書):評価対象432名のうち、問題リスク生徒の48.8%、慢性リスク生徒の70.0%で出席増。年間換算の出席増は問題リスク+4.6日/年、慢性リスク+14.0日/年。リスク段階の改善(下方遷移)も確認。

なぜ評価されたか(クリエイティブの肝)
・データ×実装の一体化:広告表現ではなく実サービス(校内ランドリー)を設計し、実データで社会効果を立証。審査員は“storytellingからstory doingへ”の好例と評価。
・シンプルな問題設定:「清潔な服」という小さなケアが、欠席という大きな社会課題に効くという“意外性と再現性”。
・スケール設計:Teach For Americaとの連携で地域横断の拡張と長期運用に踏み切れた点。

受賞(抜粋)
・Cannes Lions 2017 – Creative Data Grand Prix。

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